●なぜお米を研ぐの?

 ところで、何故お米は研ぐのでしょうか? どうして「洗う」ではないんでしょうか?

 江戸時代になるまでは、米は白米ではなく玄米で食べていました。玄米の方がビタミン等が豊富に含まれていますから理にかなっていたと言えます。江戸時代になって白米を食べるようになりました。江戸の町には精米をする米屋が出てきましたから庶民でもお金を出せば銀シャリを食べられたわけです。脚気は白米の文化が生んだ病気でした。当時の精米は、現在と比べると技術も低く、糠層はだいぶ残っていました。当然ゴシゴシと研いで糠を落とし、その水で髪を洗ったりしていました。

 最新式の業務用の精米機は、技術も上がり白米の表面にはごくわずかの糠しか残らなくなりました。しかしながら、このごく僅かの糠が食味を落とします。精米したての米はまだいいのですが、精米後時間が経ったものは糠臭さが出てしまいます。

 糠は油分を含んでいますから、粘性もあって単に洗っただけではなかなか取れません。精米技術が上がったとはいえ、ある程度力を入れて米どうしを擦り合わせることで表面に付着しているわずかな糠を取り去ることが出来ます。ひたひたぐらいの水を使って研ぐのが粘性を持った糠を取るには適しているわけです。

 ちなみに無洗米ですが、サタケなどの大手のメーカーの機械では、水のかわりにタピオカデンプンの吸着力を利用して、表面のごく僅かな糠を取り去るようになっています。最近は鮮度を求めて家庭用精米機も増えてきました。精白度は業務用と比べるとやや落ちますが、鮮度が高い分だけ糠の酸化がないですから、米を軽く研いでも糠臭さは出ないという利点があります。これからは、無洗米とともに家庭用精米機を持つ家も多くなるかも知れません。

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