●おいしいお米の炊き方

1.お米はきちんと量りましょう

 みなさんはお米をどうやって量っていますか?
米びつの計量ボタン、炊飯器に付いてくるカップ、計量カップ、ガラスのコップ、桝(マス)、湯飲み茶碗など人それぞれかと思います。昔の家のように1升とか1升5合とかを炊く場合でしたら多少の誤差は問題になりませんが、5合以下の場合にはお米はきちんと量りましょう。時には山盛りで時には擦り切れでは水加減が違ってきます。米びつの計量ボタンの場合、中の米が少なくなってくると正しく計量できないものもあるようです。

2.米は洗うというよりは良く研ぎましょう

 米は良く研ぎましょう。白米は精米直後から付着した米糠(ぬか)の酸化が始まります。無洗米の場合でも軽く洗い流してから浸水すると水の吸収が均一になるようです。
 無洗米でない場合は、白米表面に着いている米糠を落とす意味で、お米を良く研ぎます。米を研ぐというように表面を削って糠層を除去するのが目的です。良く研いだ米をご飯にすると糠臭さが減るとともに、日保ちが良くなります。特に夏場のお弁当など痛みやすい場合には、良く研いだ米を使いたいものです。

 研ぎ方ですが、以下のようにすると良いです。

3.水加減は正確に量りましょう

 現在の炊飯器は、ガス釜、電気釜とも米の量に対応する水加減の印が付いています。内釜の印があるところまで水を入れてください。このとき、釜を宙に持ったまま、あるいは平らでないところで量らないようにしましょう。
 お米はすべてが同じ水分量ではありませんから、同じ銘柄でも固さは異なります。新米が柔らかいのは有名ですが、2〜3度トライして好みの固さをつかんでください。

 羽釜や鍋(厚手)で炊くときは、米の上に手を入れ、水の量をくるぶしの所とか指の関節の所とかで計量します。米の量に関係なく、米に対してひたひたの量より100cc以上多い水を入れると覚えておいてください。100ccはおよそ5分間に蒸発する水の量です。炊きあがり時にふっくらと仕上げるためにこのぐらいの量の水が多めに必要です。1升以下ですと重量比で1.5倍、体積比で1.2倍程度の割合になります。

4.研いで直ぐには炊かない

 主婦(主夫)は何かと忙しいものです。「あっごはんがない!」「急いで炊かなきゃ」という経験は誰にでもありますね。
しかしちょっと待ってください。米は豆と同じ穀類です。充分に浸水していない米を急に炊くと中央に芯が残らないまでも米そのものの旨みを引き出せません。
 夏場で30分、冬場で1〜2時間程度の吸水時間をおいてから炊いてください。急ぐときはゆるま湯に10分冷やすだけでも違います。
 但し、あまり浸水しすぎると今度は米のデンプン分が溶け出してきます。タイマーを使っての炊飯は浸水時間が長くなりますから、米を不味くしてしまいます。特に割れが入っている米(自然乾燥と違って火力乾燥の場合には多かれ少なかれ割れは入ります)の場合、長く置きすぎないように「つけ置き」が終わったらザルなどに空けておき、翌朝水を入れて炊く方が良いのです。でも、なかなか出来ませんよね。そこでサラダ油を1滴垂らしてみてください。割合とふっくらと仕上がるようです。

5.あとは炊飯器まかせ...でもちょっと待って

 ガス釜や電気釜は自動的にスイッチが切れます。それぞれある一定の温度・時間に達したときにスイッチが切れるようになっています。現在の炊飯器はとても進歩していますから、まず焦げるようなことはありません。しかしながら最後に水分を飛ばすことは出来ないので、どうしても水分がこもったままになります。時間が経つとこの水分は米粒の中に戻されてしまいます。これが米を不味くします。べちょっとしたアレです。
 炊きあがったのを待って(15分程度蒸らしの時間をおいてから)、蓋を開けて、水分を飛ばすためにシャモジですくうように混ぜます。最近の炊飯器は蒸らしの時間を取ってから炊きあがりになるものも多いようですから、注意してください。また、混ぜる際には大きくゆっくりとご飯粒を潰さないように混ぜましょう。


●古い時代に見る「始めちょろちょろ 中ぱっぱ アブク吹いたら火を引いて 赤子ないても蓋とるな」

 最近の炊飯器は昔の知恵をすべてこなしています。「始めちょろちょろ」は羽釜を使って竈(かまど)で炊くときに目安を謳ったものです。燃料に薪を使って火力を上げて炊くコツを教えています。

 「始めちょろちょろ」…まずは、杉っ葉、粗朶(そだ)、あるいは藁などに火をつけて竈の温度を上げる。火はちょろちょろと燃えていく。

 「中ぱっぱ」…沸騰するまでは薪をパッパとくべて、火力を上げて一気に加熱する。藁による炊飯は火力が強いので贅沢とされました。

 「アブク吹いたら火を引いて」…一旦アブクが吹いたところで熾(おき)を取り出して、火を中〜弱火にする。

 「赤子ないても蓋とるな」…余熱で釜の蓋が赤子が泣くかのごとく揺れる(音がする)が、圧力を維持するために蓋は取らずに置く。


 湯気の香りが変わって音が静かになった時点で熾をすべて取り出して火を引く。(実際には2連式の竈では隣に茶釜をかけておいて、こちらに火を移して、おつけ(みそ汁)などを平行して作ったものでした)

 最後に、炊きあがりとともに釜受けに釜を下ろし、15分程度蒸らした後、サワラの櫃(ひつ)に移して水分を飛ばす。


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